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介護記録をAI文字起こしで時短する導入事例

活用法

記録業務に1日1時間使っているケアマネージャーが、AI文字起こしツールを使い始めて5分に短縮した——この数字は誇張じゃない。地域包括支援センターでのミルモレコーダー導入後の実測値として公開されている。

とはいえ「どのツールを使えばいいかわからない」「自分の職場で本当に使えるのか」という疑問は当然だと思う。現場によって環境も使い方も違うし、導入して失敗した事例も出始めている。この記事では、実際に使われているツールの具体的なフローと、知っておくべき落とし穴を整理する。

なぜ記録業務がボトルネックになるのか

介護記録の難しさは、「記録を取る場面」と「記録を書く場面」が分離しているところにある。訪問中や食事介助中は手が塞がっている。利用者との会話に集中したい。スマートフォンを出してメモを取ることすら難しいシチュエーションも多い。

結果として、訪問・ケアが終わってから「さっき何があったっけ」と記憶をたどりながらキーボードを打つ作業が生まれる。これが時間の正体だ。「書く」よりも「思い出す」に時間がかかっている。

もう一つ、見落とされがちな問題がある。介護記録は一般的な文章と書き方が違う。「食事摂取量80%、表情良好、促しで排泄あり」のような、フォーマット化された言い回しが求められる。普通の日本語から介護記録の文体に変換するのにも、慣れていないと余計な時間がかかる。AI文字起こしが介護現場で特に有効なのは、この変換ステップをAIに任せられることにある。

ミルモレコーダーの導入フロー(1時間→5分の実際)

株式会社ウェルモが2024年11月にリリースした「ミルモレコーダー」は、介護・医療業界専用に設計されたAI文字起こしサービス。月額3,500円で40時間分の録音・テキスト化に対応している。

具体的な使い方はこうなる。

  • 訪問時・ケア時にスマートフォンのアプリで録音を開始
  • 利用者との会話や観察した内容をそのまま話す(「今日は昼食を8割食べた。表情は落ち着いていた」など)
  • ケア後にアプリでテンプレートを選択(支援経過記録、訪問看護記録など複数あり)
  • AIが介護記録フォーマットに自動要約
  • 内容を確認して送信・保存

地域包括支援センターでの事例では、手書きメモから支援経過記録を作るのに1時間かかっていたプロセスが、このフローで5分まで短縮された。介護記録専用テンプレートが最大のポイントで、汎用の文字起こしツールと違い、最後に形式を自分で直す手間がない。

ミルモレコーダーの基本スペック

月額3,500円・40時間利用(キャンペーン期間は3,000円の場合あり)。録音データはクラウド処理。支援経過記録・訪問看護記録・ケアプランなど複数テンプレート搭載。2024年11月正式リリース。

ただし、正直に言うと自分では実際に試せていないので、精度の出やすい環境・出にくい環境については後述する落とし穴のセクションを参照してほしい。導入前に無料トライアル期間を活用して、自分の現場の環境で確認することを強く勧める。

他のツールでも出ている短縮効果の数字

ミルモレコーダーだけが特別なわけじゃない。介護記録向けのAI文字起こしツールは複数あって、それぞれで記録時間の短縮効果が報告されている。

noman(ノーマン)

2025年時点で8,000事業所以上に導入されているサービス。居宅介護支援事業所では、ケアマネジャー1名あたりの記録作成工数が43%削減された実績がある。訪問系・通所系・施設系と幅広いサービス種別に対応しており、導入規模では現時点で国内最大クラスと思われる。

FonLog

1人あたり1時間かかっていた記録業務が23分に短縮(毎日33分の削減)という数字が公開されている。別の施設事例では記録時間が85%削減、2時間→18分という結果も出ている。ただしこれは特にうまくいったケースで、全施設の平均値ではないと思う。18人のグループホームに換算すると、職員の記録時間が年間4,590時間削減されるという試算が出ている。

LINE WORKS AiNote

すでにLINE WORKSを業務利用している施設向けの選択肢。録音データから自動で文字起こし・要約するだけでなく、「食事」「排泄」といったキーワードで会話内容を後から検索できる機能が特徴的だ。既存のLINE WORKSアカウントと連携して使えるため、新しいアプリを覚える手間が最小限で済む。

ツール 主な特徴 時短効果の目安 費用感
ミルモレコーダー 介護記録専用テンプレート 1時間→5分(地域包括支援センター事例) 月額3,500円/40時間
noman 8,000事業所超の実績 記録工数43%削減 要問い合わせ
FonLog ハンズフリー記録 1時間→23分(最大85%削減事例あり) 要問い合わせ
LINE WORKS AiNote キーワード検索・LINE WORKS連携 非公開 LINE WORKSプランに準じる

noman・FonLogの具体的な費用が「要問い合わせ」になっているのは調べきれなかった。公式ページに価格が掲載されておらず、施設規模によって見積もりが変わる形式のようだ。比較検討するなら、まず問い合わせるか、価格が公開されているミルモレコーダーをベースに検討するのが現実的だと思う。

現場で必ず直面する落とし穴

導入して気づく問題が2つある。どちらも公式ページにはほとんど書いていない。

落とし穴①:環境音で精度が激変する

静かな個室での訪問なら問題ない。問題はデイサービスの食堂、テレビがついている居室、入浴介助中のような騒音環境だ。背景音が多い状況では文字起こし精度が大幅に落ちて、むしろ後から修正する手間が増えるケースがある。

各ツールの公式ページを見ても、「騒音環境での精度」は明記されていないことがほとんど。これは試用期間に自分の現場環境で実際に試すしかない。騒音下での文字起こし精度を上げる方法も参考になるかもしれない。

落とし穴②:AIが事実を「補完」してしまう

これがより深刻な問題だと思う。AI要約は「それらしい介護記録」を生成するが、話していない内容を補完してしまうリスクがある。「表情良好」「意欲的に取り組んでいた」といった表現が、実際には観察していない場面に挿入されることがある。

介護記録は法的根拠になる書類だ。確認なしに自動生成された内容を保存するのは危険で、必ず人間がチェックするフローを設計する必要がある。「AIが書いてくれるから楽」と流れ作業にするのが最大のリスクで、チェック工程を省くと本末転倒になる。

どのツールを選ぶか——判断軸の整理

介護記録に特化したツールを選ぶか、汎用の高精度ツールを選ぶかで判断が分かれる。

介護記録テンプレートが必要な場合はミルモレコーダー一択に近い。月額3,500円で1名分なら、記録時間の短縮による人件費削減で十分に回収できる計算になる。1時間→5分の短縮が月20日続けば、月33時間の業務削減になる。

すでにLINE WORKSを業務利用している施設は、まずAiNoteを試すのが合理的だ。新しいツールの習熟コストが最小限で済む。

訪問記録だけでなく、多職種カンファレンスの議事録や研修記録も一元管理したいなら、汎用ツールの方が結果的に使いやすいケースがある。特定の会議に特化せず、職場で起きる「記録」全般をカバーできるからだ。

ツール選びで迷ったときに使えるAI文字起こしアプリの選び方ガイドも参考にしてほしい。比較軸を整理している。

幅広い用途で使うなら Notta から試す手がある

介護現場での汎用ツールとして実績があるのがNotta。2025年の「看護DXアワード2025」を受賞しており、院内カンファレンスや申し送りの文字起こしから、訪問時の記録作成まで幅広く使われている。1時間の会議記録を10分で仕上げた事例も出ている。

介護記録専用テンプレートはないが、自分でテンプレートをカスタマイズして保存できる。「支援経過記録」「訪問看護記録」の形式を一度登録すれば、毎回同じフォーマットに出力できる。手間は最初の設定だけだ。

無料プランで実際の精度を試してから判断できるのも選びやすい点で、無料AI文字起こしツールの精度比較でもNottaの基本性能を確認できる。訪問看護・介護施設でAI文字起こしを始めるなら、まず無料プランで自施設の環境に合うかどうか確認するのが現実的な最初のステップだと思う。

Notta — 無料プランから試せる

月720分の無料枠あり。日本語精度が高く、看護DXアワード2025受賞。介護・医療現場での導入実績多数。まず無料で試して、自施設の環境に合うか確認できる。

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最後に一つ。どのツールを選んでも、「録音→テキスト→確認→保存」の4ステップを職場全体の習慣にするまでに時間がかかる。ツールを入れるだけでは効果は出ない。1〜2名から始めて、現場に合ったフローを作ってから全体に広げる進め方が現実的だ。

最終更新: 2026年4月

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